言い訳しながら報告します

現役の学校栄養士が写真とイラストで報告する、言い訳の日々。

 

遠野からの物語 ~栄養士の災害支援 その2~


Category: 災害支援   Tags: ---
20110704食事01



今日は具体的な避難所での食事について少々お話を。

避難所での食事は、その場所によって様々なパターンがあります。
3食ともに作っているところもあるかもしれませんが、私が担当した所は、1カ所は昼食のみ、もう1カ所は夕食のみを作り、他はパン、お弁当、ごはんは自衛隊から運んでもらいおかずだけを作る。
そんな感じで、全てが同じではなく、場所によって違っていました。

また、炊き出し支援も、災害支援の栄養士が中心になって作りお当番の方が盛り付けなどを手伝ってくれる所もあれば、避難所で生活する方達が中心になって調理をし、栄養士は在庫確認をして、この材料だったらこういうものも作れるという献立や調理方法の提案、衛生面のチェックなどをすることもあります。

では、具体的にどんなものを作っているのか。

これは調理施設(家庭科室など)がある学校が避難所になっている所と、そうでないところでは差があります。

私が午前中に手伝っていた避難所は調理施設がないところ。
ここのお話をします。

避難所を入ってすぐの6畳弱くらいの広さの所に食材と器具類、調理や盛り付け用の折りたたみの長テーブルが3台。
これが調理場所になります。

器具類は鍋がいくつか、ボールやザルはあまりなく、冷蔵庫は450リットルくらいの家庭用の冷凍冷蔵庫が1台。
加熱できるものはガスコンロが2口のみ。
水は外に簡易シンクと水道。
この条件で50名前後のお昼ご飯の提供を、1時間30分くらいで行うので、できる献立は本当に限られています。

主食がごはんの場合、炊飯器は無いので、レトルトのα化米にお湯を入れてごはんとなりました。
1人前になっているのはいいのですが、レトルトの口を開けて中に入っているスプーンと脱酸素材を取り出しの作業が、非常に手間がかかるものだと分ります。
給湯設備も無いので鍋に水を入れてお湯を沸かして、それをパックに入れてかき混ぜて・・・
このパックから直接ご飯を食べてもらいます。(一番上の写真は中のスプーンを取り出しているところ)


20110704食事02



作ったものは全て1人前ずつ盛り付けをします。
盛り付けをしておかないと、自分がどれくらいの量を食べていいのか分らない、全員に行き渡らない可能性があるからです。

食器は全て使い捨ての発泡スチロールのトレータイプや紙コップなどを使います。
種類はあっても使いやすいサイズはどんどん無くなるので、この日はトレータイプが全く無かったので、盛り付けは、スーパーなどでお惣菜に使うパックをハサミで半分にカットして、深い方はおかず、浅いフタ部分はグレープフルーツ用に使用しました(上の写真 おかずは大根と人参のなます、キュウリの塩揉み)。

盛り付けが終了したら空いたパン箱に並べて、配膳用のテーブルに置いて、管理をしている応援自治体の方に食事の用意ができた事を放送してもらいます。

食べる人はお盆があれば使いますが、無い人は段ボールや底が平らな買い物カゴなどをお盆代わりにして、盛りつけたおかずやみそ汁などを取り、自分の居住スペースで食べます。

本当はおいしい炊きたてのごはんとみそ汁があれば、それだけで気持ちも少し違うかもしれない。
お茶碗やお椀で食べてほしいけど、使用した食器をどうやって洗うか、管理してるか。
そう考えるといたしかたないことかもしれません・・・

日によって人数は違いますが、食事当番として2~3名の方が洗い物や盛り付け、片付けのお手伝いに入ってくれます。
でも、一番肝心なのは味見役。
自分たちが慣れ親しんだ味になるべく出来上がることはとても大事な事。
私たちは作るお手伝いはできても、そこで食べる人が少しでも満足してもらうことは、栄養うんぬんの前に食べるストレスを避けるためにも必要な方々でした。

また、この日は地元の食事改善委員のお母さん方5名が参加してくださったので、お当番さんも骨休めができただけでなく、どんどん切りものや味付け、配膳を進めてくださいました。

たとえ避難所生活でなくても、少なからず被害や大変な事もあるでしょう。
しかし、お手伝いに来てくださったお母さん方の、少しでも何か出来ればそれでいいのとお国言葉で話してくださる明るい笑顔は、食べる人にもきっと届いているに違いないと思うのでした。



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テーマ : 絵日記    ジャンル : 日記


Comments

こんばんは
まだまだ大変ですね。
早く、暖かいごはんとお味噌汁が不通に食べられる生活になるよう祈るばかりです。
 
おはよ
避難所生活はまだまだシンドイんだね。
新聞にもテレビにもあまり登場しなくなったから、
もうかなり改善されたのかなあと思ってたよ。
臨機応変、それぞれの場で最善を尽くすって事なんだろうね。
何も出来ない自分が歯がゆいわ!!!
 
こんにちは
具体的な行動一つ一つから考えないといけない・・。
それは余裕のある人にも大変な作業。
それが毎日。
でも、被災しても手伝いたいと思う心。
あらためて、被災地の大変さを痛感させられています。
これからもっと暑くなる季節。
食べ物を扱うのは大変なことになっていくのか・・。
そう思うと、自分に出来る事・・被災地の名産品物産展が近々あるので、買いに行こうと思います。
おたぬきさんのレポートは、心に響きますです。
 
まだまだ復興には時間がかかりそうですね。
毎日食べる食事だからこそ
ストレスを少しでも少なくとの思いやりから
食事を当番にしてて、洗い物も少なく済むように配慮されてるんですね。
避難してる人達が一日も早く
自分の家の食卓で自分の家の食器で
自分の家の味付けで食べる事が出来るように祈るばかりです。

おたぬきさん、お疲れ様でした。
 
毎日だもんね~
いい加減炊きたてのご飯に
お味噌汁が食べたいよね。

がっつりお肉も食べたいだろうし
新鮮なお魚も食べたい
お野菜だってたっぷり食べたいだろうね。

それぞれが、食べたいものを食べられる日は、いつ来るのだろうね。

家族が被害に遭ってしまった場合
その日も来ない場合もあるんだよね。
辛いな。
 
α米も、家族の様な小規模ならこの形式でも苦にならないのでしょうが
大人数だと実際やってみないとわからない苦労などがあるのですね。
10人前のα米などがあればいいですねよね。
食器を洗ったりのことまで考えたり
食べた量のとことか
栄養価のこと以外にもこんなにも考えなきゃならないことがあるのかと
驚きました。

おたぬきさん ありがとう。
 
Re: こんばんは
betipaさん、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> まだまだ大変ですね。
> 早く、暖かいごはんとお味噌汁が不通に食べられる生活になるよう祈るばかりです。

普通の生活がある日突然奪われる。
ようやく現実を受け入れられるようになっても、問題は山積み・・・

せめて暖かいご飯とみそ汁が食べられる日が早く来るように。
ささやかであっても、再出発の意味はそこにあると思います。
 
Re: おはよ
かぶともさん、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> 避難所生活はまだまだシンドイんだね。
> 新聞にもテレビにもあまり登場しなくなったから、
> もうかなり改善されたのかなあと思ってたよ。

避難所での生活は、プライバシーの問題とか衛生面とか食事とか・・・
そこで『暮らす』ということは、それなり以上のストレスがあるだろうと。
慣れなんて言葉はあり得ないでしょ、と思えました。

> 臨機応変、それぞれの場で最善を尽くすって事なんだろうね。
> 何も出来ない自分が歯がゆいわ!!!

そうなの、かぶともさんが書かれている通り、臨機応変にその場での最善は何か?
臨機応変の情報を地元に還元するため、日本全国から支援が集まっていると言っても過言じゃないと思えました。
簡単じゃない事だけど、やらなきゃいけないことだしね。
こうやって考えてもらっている事が、最大の支援だと思います。
 
Re: タイトルなし
> こんにちは

マダム、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> 具体的な行動一つ一つから考えないといけない・・。
> それは余裕のある人にも大変な作業。
> それが毎日。
> でも、被災しても手伝いたいと思う心。
> あらためて、被災地の大変さを痛感させられています。

お互いに支え合うことができるって素晴らしいと思えるし、支えてくれる人がいると思うから頑張れる事も多いのかな?と思っています。

> これからもっと暑くなる季節。
> 食べ物を扱うのは大変なことになっていくのか・・。

今でも衛生面とか食事面では問題が沢山あります。
分っている、改善策も分っていても、簡単に物事を解決する術が無いのは、なんとも歯がゆい事です。

> そう思うと、自分に出来る事・・被災地の名産品物産展が近々あるので、買いに行こうと思います。
> おたぬきさんのレポートは、心に響きますです。

キュウリ1本でも、卵1個でも、購入していただけたら、きっと東北で頑張ってる方々は『ありがとう!』って叫んじゃうだろうって思います(^^)
毎日、読んでいただいてありがとうございますm(--)m
 
Re: タイトルなし
ふぃるさん、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> まだまだ復興には時間がかかりそうですね。
> 毎日食べる食事だからこそ
> ストレスを少しでも少なくとの思いやりから
> 食事を当番にしてて、洗い物も少なく済むように配慮されてるんですね。

食事は生きていくためには必要なものであり、少しだけ落ち着いてくるとともに、食事に求められるものも変わって来ている感じもあります。
ストレスと衛生面。
これも同時に変わってきているのかな、と思えることもありでしょうか。

> 避難してる人達が一日も早く
> 自分の家の食卓で自分の家の食器で
> 自分の家の味付けで食べる事が出来るように祈るばかりです。

ご馳走でなくても誰も気にせずに食事ができる。
自分のための生活を、全ての被災者の方々が取り戻して欲しいと願います。

> おたぬきさん、お疲れ様でした。

こちらこそ、読んでいただいてありがとう~!
 
Re: タイトルなし
にわさん、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> 毎日だもんね~
> いい加減炊きたてのご飯に
> お味噌汁が食べたいよね。

普通の食事ができる、これが生活の基本だものね。
いつになったらって不安があるだけに、ストレスも大きいだろうし。

> がっつりお肉も食べたいだろうし
> 新鮮なお魚も食べたい
> お野菜だってたっぷり食べたいだろうね。
>
> それぞれが、食べたいものを食べられる日は、いつ来るのだろうね。

子供を見ると、家族だけでああだこうだってワガママ言わせてあげたくなっちゃった。
普段ならチッ!って思うだろうけど、我慢してるんだろうな~ってのが伝わるだけに不憫で・・・
若い女の子にはフルーツだって欲しいだろうし、おじいちゃんおばあちゃんには柔らかいごはんを。
生きるためだけの食事から、楽しい食卓に戻って欲しいって思います。

> 家族が被害に遭ってしまった場合
> その日も来ない場合もあるんだよね。
> 辛いな。

これは厳しいよね・・・
一人に1台ずつテレビがあったから全部で5台あったけど、今度は3台でいいんだよね~
こういう話を聞いて内容が想像できても、安易な答え方ができなかった・・・
でも、だからこそ色んな支援が必要なんだろうね。
 
Re: タイトルなし
絵麻*さん、こんにちは!コメントをありがとうございます!

> α米も、家族の様な小規模ならこの形式でも苦にならないのでしょうが
> 大人数だと実際やってみないとわからない苦労などがあるのですね。
> 10人前のα米などがあればいいですねよね。

昔よりもα化のごはんは美味しくなったとは言え、お米を炊いたごはんには負けちゃうかな~。
ただ、現実を考えるとそうも言ってられないだけに、それならばごはんを加工(チャーハンを作るなど)する時には、こういうのがあるといいですよね。

> 食器を洗ったりのことまで考えたり
> 食べた量のとことか
> 栄養価のこと以外にもこんなにも考えなきゃならないことがあるのかと
> 驚きました。
>
> おたぬきさん ありがとう。

どんなに食事をしても、結果として食中毒になったりしたら問題ですから、衛生面はこれからますます大きな問題になってくるかもしれないです。
こちらこそ、読んでいただいてありがとうございました~!
 

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